2012年1月28日

小室直樹「日本人のための憲法言論」は面白すぎ

小室直樹氏の著作はこれまで何冊も目を通しているが、「日本人のための憲法言論」は決定版と言えるかも知れない。彼のエッセンスが全て詰まっている感じ。題名からは憲法の条文についてのうんちくを並べ立てた本を想像するが、実は西洋史、日本の現代史とも言える内容。宗教、議会、法律、民主主義、資本主義についての「原論」を西洋の歴史から根本的に読み解く圧巻の書となっている。

これを読めば、我々が漠然とすばらしいと思っている民主主義がいかにあやふやなものか、議会や憲法がいかに重要なものか、ため息が出るくらいすんなり理解できる。文章も平易で歴史ミステリーを読むように一気に読める。

テーマは刺激的なものが並ぶ。
・憲法こそが全ての根本
・権力はリバイアサン。権力監視の仕組みこそが重要
・民主主義は独裁を生むシステム
・フランス革命は最悪の恐怖政治を産んだ。おかげで長らく民主主義はだめなものとされてきた
・民主主義、資本主義、革命思想の根本にはキリスト教がある
・明治以降の天皇教は、日本に資本主義を根付かせるための施策だった
・平和主義者が戦争をつくった
・ヒトラーの政策はドイツ国民に圧倒的に支持されていた
・「天皇の戦争責任」などと言う人は憲法が全くわかってない
・田中角栄死して憲法も死んだ
・日本の平和憲法は世界中に同じものがあって珍しくも何ともないもの

目からうろこがはがれまくって視界が一気に広がること請け合い。