2021年12月6日

毎日の晩酌が楽しみだった50代の男が、酒をやめる決意をしてどうなったか 〜禁酒・断酒・ソーバーキュリアス体験〜

50代半ばにして、30数年ずっと親しんできた酒との付き合いを断つことを決意した。

1. 断酒を決意するまで

毎日の晩酌が楽しみという方々はきっとこう思うはず。 
「酒をやめるなんてありえない」 
「何を楽しみに生きるんだ」 
「ずっと我慢して生きるのか」 
「やるとしてもせいぜい節酒だろう」 

実際私もそう思い込んでいた。 酒無しの人生なんてありえない。ビール、ワインを味わい、ウイスキーのストレートを舐めるのは至福の時間であり、晩酌のくつろぎや酒席での語らいこそ人生と思っていた。 

数年前、50歳を過ぎた頃から酒にめっぽう弱くなり、二日酔いとなると終日体が動かず何も食べれないくらいになった。酒量は抑えが効いたのでアルコール依存症というわけではない。ただ「ビール一本で終わり」というのができなくなっていた。 

そこに新型コロナによる在宅勤務で晩酌時間も増えた。毎朝起きると体が重く、胃腸がだるく、気分が落ち込むようになった。鏡を見ながら昨晩飲んだことを後悔し「今日は休肝日にするぞ」と誓うが、夕方には飲むという日々を繰り返していた。 

今から半年前、二日酔いで気分がどん底のある朝、強い気持ちが湧いた。「こんなんじゃまずい。本気で酒をやめてみたらどうだろう」。 

早速、禁酒のバイブルとされている有名本を読み、ネットで断酒情報をあさり、気持ちと理論の両面から酒を体に入れないことに決めた。 


2. 断酒してみるとこうなった

断酒するとすぐわかるがとにかく体が気持ちいい。酒のデメリットについての理論武装もしっかりしてある。またこれまでさんざん酒に振り回され続けたことがトラウマにもなっている。

そんなことから、断酒後二日目にして、酒に対する感情が180度変わったことに気づいた。ビールやウイスキーボトルを目の前にしても飲みたいという気持ちがわかない。アルコールを体に入れたくないとまで思う。自分の意識の変化に驚いた。 

朝の目覚めが爽快である。ベランダから景色を眺め朝日を浴びながら深呼吸をすると、かつて無かった自己肯定感、幸福感が沸き起こってくる。体も頭も軽く内臓もすっきり。味覚が敏感になり朝ご飯やコーヒーが美味しい。家族との会話も心地いい。 

夜も意識がはっきりしていて気分がいい。映画のストーリーが頭に入る。就寝前の読書が楽しい。翌朝後悔する不用意なネット書込やメッセージ送信も無い。記憶力も増した。 

見るもの触るもの全ての解像度が上がった。さらに出費まで減るのだ。
酒をやめることは、「一生我慢して過ごすこと」では決してなく、日常生活の一つ一つに「気持ちよさが舞い込むこと」であった。 


3. 酒について思うこと

ここ数年はすっかり酒に支配される生活で、やたらと酒のことばかり考えていた。 
夕方になると、「何を飲もうかな」「ああ気分がよくなってきたな」「早めに切り上げないと朝辛いぞ」「もうちょっとだけ飲もう」 
朝起きると、「少し量減らさないとなあ」「今日は休肝日にしよう」 
昼になると、「酒は夕方まで我慢しなきゃな」 
夕方になると、「何を飲もうかな…」 
という無限ループ。 

飲んでる間は最高に気分がいい反面、飲んでない時はテンションが下がる。毎日、金を払ってジェットコースターに乗って、疲れ切って降りて、また乗り場に並んでしまう感じだ。 

また酒が体全体にいかに大きな影響を与えていたか、酒をやめると痛感することになる。
脳(睡眠、判断、記憶、気分、欲求)や内臓(消化器、肝臓、腎臓)や味覚、血行、水分量等々。
断酒すると、頭も体も生まれ変わったように生き生きとしている。

断酒は無理なので「節酒」をしたいと思っている人も多いはずだ。だが、もし意識が酒に支配されているような状態だと、「節酒行為自体がストレス」になってしまう。いい気分と我慢と後悔の繰り返しだ。
一方、酒をやめてしまうと完全ストレスフリーだ。ついでに出費もフリー。タバコをやめたことがある人ならこの感覚はよくわかるに違いない。

最近は日本を含む世界的な傾向として飲まない若者が増えていて、あのフランスですら国内ワイン消費が減り輸出頼みになってるとか。「ソーバーキュリアス」という、飲めるけどあえて飲まないことを選択している人たちも増えている。中高年であれば、老後の健康や生活費を気にしている人には、断酒は格好のネタであろう。

50代半ばにして酒をやめてから半年近くが経った。成人後の人生の後半戦、このまま酒無しでまったりと過ごしてみようと思う。
(2021年12月)

2014年3月21日

松本清張の短編小説にはまった

松本清張の初期の短編小説にはまった。清張と言えば『点と線』『砂の器』など長編推理小説が有名だが、文学的な素晴らしさでは初期の短編こそ読まれるべきだと思う。

彼の短編小説では、平凡な庶民がふとしたきっかけで破滅していく話や、社会的に屈折した感情を持った人物がのし上がろうとすることで結果破滅していく話など、どちらかというと陰鬱な展開が多い。だが絶妙な文体に乗せられ一話ごとの人間ドラマにのめり込んでしまいラストの余韻も深い。1950年代という時代背景の古さは否めないが、漱石や芥川などと比べれば現代的でありかつ人間心理の普遍性も感じさせてくれる。さすが今の時代でも二時間ドラマ原作の常連を張っているだけのことはある。

以下の三冊がおすすめ。いずれも時代小説は除いてあり現代小説である。kindleで読めるのもうれしい。

表題作は芥川賞受賞作。『断碑』『笛壺』『赤いくじ』『青のある断層』『喪失』『弱味』など傑作揃い。


表題作に加え、『真贋の森』『紙の牙』『空白の意匠』がお気に入り。


推理小説集。表題作に加え、『地方紙を買う女』『一年半待て』『カルネアデスの舟板』などが秀逸。

                             

2013年1月13日

iTunesホームシェアリングとAppleTVの組合せは最強

自宅でApple製品に囲まれていて気持ちいいと思う最大の理由は、「iTunes」と「AppleTV」の組み合わせによるワイヤレス環境である。Apple製品は好きだけどAppleTVは持ってないという人が多いが、何とももったいないと言うしかない。

この組み合わせによって、自宅のMac、iPad、iPhone、大画面テレビ、オーディオがワイヤレスで一体となる。リビングでの過ごし方が変わり、ネットにつながってないテレビやオーディオは考えられなくなった。


1. iTunesのホームシェアリング

まずAppleの「ホームシェアリング」でiTunesが一層便利になる。家庭内の最大 5 台までのコンピュータ間で iTunes のメディアライブラリを簡単に共有できる機能だ。例えば音楽や映画のデータを全て一台のMacにつっこんでおけば、それをワイヤレスで他のMacやiPad、iPhoneなどから共有できる。自宅のPCがメディアライブラリサーバーになるわけだ。(WindowsPCでも利用可能)


2. AppleTVとテレビ、オーディオの接続


iTunesやYouTubeなどを自宅の大画面テレビやオーディオ機器で鑑賞するのを可能にするデバイスが「AppleTV」である。AppleTVは8千円程度の手のひらサイズで一見地味な存在だが、実はAppleを差別化するキーとなる製品だと思う。テレビとはHDMIケーブル、オーディオ機器とは光ケーブルで接続するだけ(アナログオーディオなら変換器でOK)。ネット接続は有線でも無線(Wi-Fi)でも可。

【参考】AppleTVとアナログオーディオでつくるデジタル・ワイヤレス音楽環境


3. AppleTVによるワイヤレス体験「AirPlay」


AppleTVが接続できたら「AirPlay」が可能になる。AirPlayとはMac、iPad、iPhoneなどにあるコンテンツを、Apple TVを経由して大画面テレビやスピーカーにワイヤレスで送る機能だ。

これによりiTunesやHuluの映画を自宅の大画面テレビに映し出すことが可能になる。さらに自宅のCDを全てiTunesに突っ込んでしまえば、Mac、iPad、iPhoneの「Remote」アプリでリモコン代わりに選曲するだけでオーディオ機器からワイヤレスで音楽が流れるので、自宅版ジュークボックスの出来上がりである。もはやCDを出し入れしたり、オーディオにiPhoneを物理的に差したりする時代ではなくなった。

Mac、iPad、iPhoneの画面をそのまま自宅のテレビにワイヤレスで映すことができる「AirPlayミラーリング」も便利だ。YouTubeや写真、映像などを大画面テレビで家族や友人と一緒に見ることができる。私はもっぱら家族からのリクエストに応じてMacやiPadを検索する係になってしまった。世の中のショットバーやカラオケボックスなども同じシステムを入れれば楽しみ方が広がると思う。

どうも便利すぎて、当面Appleが築いたエコシステムから逃れることはできなさそうだ。AppleがiTunesライブラリの完全クラウド化を実施したらさらにすごいことになるな。



2012年11月21日

世界最強の電子書籍リーダーKindle Paperwhiteがやってきた。


アマゾンの電子書籍「Kindleストア」という黒船がオープンしたのに続いて、世界最強の電子書籍リーダー「Kindle Paperwhite」が日本上陸。昨日から通勤電車で使い始めたところ、既にもう紙の本には戻れない気がしている。吊革につかまりながら本のページをめくるという面倒な作業から解放されたのが大きい。

「やっぱり紙の本でないと…」って言う人もまだ多いけど、電子書籍はとにかくいいことづくめ。


・軽くて片手で本が読める。ページめくりもワンタッチで楽々。

・字の大きさが変えられる。(老眼には必須)
・言葉の意味や読み方をオンライン辞書ですぐ調べられる。(洋書だとめちゃくちゃ便利)
・ダウンロードすれば読みたい本をその場ですぐ読める。
・紙の本より値段が安い。
青空文庫など、古典が無料で読める。
・たくさんの本を一台に格納できる。出かける時にどの本を持って行こうかなんて迷う必要なし。
・暗い場所でも太陽の下でもクリアに読める。
・複数のデバイスで同じ本が読めて、同期もとれる。

そもそも本って元はデジタルの文字情報なんだから、わざわざ紙資源をつかって印刷して製本して、配送して陳列して返本してなんて、本来は全然いらないわけだ。


中でもKindle Paperwhiteの特長は、軽いこと(213gで文庫本より少し重い程度)、「e-ink」が目に優しいこと、バッテリーが長持ちすること。KindleストアはiPhoneやiPadでも読めるんだけど、iPhoneでは画面が小さすぎるし、iPadは重すぎる。対抗馬のiPad miniはカラーで美しいし多機能で確かにすばらしい。でも、ついサイトを見てしまったり、バックライト液晶が目にいいとは言えなかったり、片手で長く持つには少し重い。その点Kindle Paperwhiteは紙の本と同様にちゃんと読書に集中できる感じ。



Kindle Paperwhiteと文庫本の比較

こんな便利なものがわずか7,980円で買えるんだから、とりあえず買っといて損は無し。iPad mini、iPhoneとの併用でも全然いいと思う。


デメリットは本の貸し借りが自由にできないことくらいか。また日本のKindleストアは一万点、アメリカの百万点と比べたらしょぼすぎる。でも電子書籍化の流れは止まることはないだろうな。

2012年10月23日

auのiPhone5とマモリーノ2で子供の位置確認をする方法

iPhone4から5へ移行するにあたり、ソフトバンクからauにMNPした。iPhone5とauの電波には充分満足しているが、どうもauはソフトバンクと比べてショップの対応やサイトやマニュアルがやたらややこしく、とにかくわかりにくい。

典型的な例が今回の騒動である。

iPhone5と同時に、うちの子供の位置確認ができるようにとauで子供用携帯「マモリーノ2」を一緒に購入した。ソフトバンクでも同じサービスを利用してたので親子でのMNPである。

購入時のauショップの説明はこうだった。

『安心ナビ(au位置確認サービス)はiPhone5のアプリには対応してませんが、PCでは見れるしiPhoneのブラウザであればご利用いただけます。』

購入後、自宅でマモリーノ2のマニュアルやauのサイトと格闘するが、設定方法がよくわからない。ソフトバンクでは迷ったことすらなかったのに。

音を上げた私はauショップへ出向いて何をどう設定すればいいのかたずねた。調べてもらった結果の回答はこうだった。

『安心ナビはPCでは利用できますが、サファリには対応してないためiPhoneではご利用できません。』

PCで位置確認をするための設定はauコールセンターに聞いてくれと言われ、157番に電話をして聞いたら次のような回答。

『これからお客様のiPhoneにマニュアルを送るので、その通り設定すればPCでもiPhoneでも利用できます。』

マニュアルをもらったが、予想通りiPhoneでは設定できないことがわかった。

再度コールセンターへ電話。数分間調べてもらった結果の回答はこうだった。

『MNP転入によるiPhoneでは、iPhoneでもPCでも位置確認は利用できません。』

他に方法はないのか?と聞いたが、

『方法はありません。申し訳ありません。』

いやー、見事にみんな言うことが違う。

それにしても位置確認ができない子供携帯って意味がわからないので、解約する前提で私は念のためネットで調べてみた。

…すると子供の携帯にEメールを送るだけで位置確認ができるサービスが「au」にあることが一般人の複数のブログからわかった

auのキッズ携帯『マモリーノ2』。他社ケータイやiPhoneから利用する方法ってある? 

http://aucp04510.blog.fc2.com/blog-entry-188.html


早速手元のiPhone5からEメールを送ってみると、すぐさま子供の携帯から自動返信があり、送られたURLをクリックすると地図が出て、いとも簡単に子供の居場所がわかった。何だ、ある意味ソフトバンクより便利じゃないか!

結論として、MNP転入のiPhoneでは、PCでもiPhoneでもauの「安心ナビ」サービスは利用できない。でも上記方法の位置確認が手軽だし充分だ。

何でこんな便利なサービスを誰も教えてくれなかったの?!auさん大丈夫?

2012年9月15日

ヴァンヘイレンの最高傑作アルバムは「戒厳令」

戒厳令 (Fair Warning)


ヴァンヘイレンが復活したのをきっかけに、ここのところヴァンヘイレンにはまりまくっている。ネットを覗くとやっぱりデイブ・リー・ロスがいいとか、いやサミーヘイガーだろとか、アルバムはやっぱりファーストでしょうとか、いやいや1984でしょとか、様々な意見が飛び交ってる。やっぱりゲイリー・シェローンでしょという意見以外は何でも有りの状況だ。

そんな中、少数派のレッテルを貼られることは覚悟で、デイブ・リー・ロス時代の4枚目のアルバム「戒厳令(Fair Warning)」を私はヴァンヘイレンの最高傑作アルバムとしたい。私の思うところ、エディーが最も切れまくっているのがこのアルバムだ。セールス面やキャッチー度とは別の意味で、楽曲もギターもセンスが爆発している。

ヴァンヘイレンが他のハードロックバンドと一線を画しているのは、コード進行が斬新で、ギターのリフやバッキングのアイデアの豊富さである。他のギタリストが一曲で使うアイデアの4〜5倍をエディーは詰め込む。中でもこの「戒厳令」がその頂点だと感じるのだ。

一曲目「Mean Street」のイントロで度肝を抜かれる。Eruptionどころではない。YouTubeも何もなかった頃だ。一体どうやって弾いてるんだ??曲全体もヘヴィでドラマチック。

 二曲目「Dirty Movies」もイントロのギターのセンスと言ったら有りえんレベル。スライドギターも効果的、ベースも重量感たっぷり。

三曲目「Sinner's Swing」のリフの疾走感はたまらない。

四曲目「Hear About It Later」は人気曲でここもギターのバッキングのセンスは抜群。複数のギターの絡みが万華鏡のよう。

五曲目は超人気曲「Unchained」。リフとサビのかっこよさは当然として、私が感嘆したのはBメロのバッキング。複雑だが何ともかっこいい。よくこんなの思いつくな〜。プロデューサーのテッド・テンプルマンが「Come on Dave,Gimme a break」とからむところもいい。

六曲目「Push Comes To Shove」はブルース感たっぷり。渋い、渋すぎる。エディーのソロが珍しくメロディアスだが、決してべたべたのブルースではなくエディーらしくドライで、いいんだなこれが。

衝撃度ではもちろんファースト「炎の導火線」、洗練度・完成度はサミーヘイガー時代に譲るが、楽曲の斬新度、ギターのセンスでは「戒厳令」は絶対のおすすめ。新作「Different Kind of Truth」も楽しくていいけど、さすがのエディーもこの頃のセンスは無くなってるな。


2012年7月14日

iPhone用にソニーBA型高級イヤフォンXBA-3SLはおすすめ


iPhone用のイヤフォンが壊れたのを機に、高級イヤフォンを物色してみて、ソニーBA型イヤフォンXBAシリーズに行き当たった。

BA型とは「バランスド・アーマチュア(BA)・ドライバーユニット」のことで、従来のダイナミック型と比べて、小型・軽量、高感度、高解像度、高遮音性という特性がある。構造上、高感度で且つ遮音性が高く、音漏れも比較的少ないことから、高音質な密閉型インナーイヤータイプヘッドホンに適している。


XBAシリーズはグレードが4つあるが、上から2番目のXBA-3SLを購入した。BA型は比較的低音が出にくいらしいが、試聴してみたところ1と2では低音が全く物足りなかった。ところが3と4はそこを改善しており、実にバランスのよい音が出る。XBA-3SLはAmazonで13,350円だが、従来の3〜4万円の高級機に匹敵すると言われており、コストパフォーマンスは高い。

ソニーのダイナミック型MDR-EX510SLと聴き比べをしてみたところ、音のクリア度はMDR-EX510SLが上だが、XBA-3SLは音の空間の広がりや艶が感じられる。MDR-EX510SLは構造上穴が空いておりどうしても音漏れが気になるが、XBA-3SLは密閉性が高く、外部からの遮音性や音漏れ防止に強い。通勤電車で安心して使えるわけだ。

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私がソニーにこだわった理由は、ソニー独自の「ネックチェーン」にある。右側のコードが長くなっており、首にかけるタイプで、イヤフォンを耳からはずしても肩にかかったままで落ちないのだ。左右の区別に迷うこともない。これが通勤中などで実に便利。XBA-3SLは姉妹機種としてiPhone用リモコンが付いたXBA-3IPというのがあるが、こちらはネックチェーンでないのでやめた。


iPhoneの圧縮音源であっても音楽を聴くのがすっかり楽しくなってしまった。おすすめ。




<リンク>

【さわやか高音質】インナーイヤーヘッドホンSONY XBA-3SLを買ったでござる

イヤホンの比較試聴

2012年4月28日

アコギ練習中

最近YouTubeにアップした私の演奏。アコギを初めて3年、まだまだこれから。

「黄昏」押尾コータロー


"SIGNE" in Unplugged by Eric Clapton


From Paris With Love - Marcel Dadi



2012年4月14日

ワン・ビン(王浜)監督作品「無言歌」

映画館で食い入るように観てしまった。毛沢東の「反右派闘争」により、1960年、極寒のゴビ砂漠の強制収容所に送られた中国知識人たちの悲惨な物語。そのわずかな生存者の証言による実話をもとに、彼らが砂漠に送り込まれ、労働と飢餓と寒さで次々と亡くなっていく様を、徹底的に乾いた映像で表現した映画だ。

ジャーナリストの
佐々木俊尚氏は「あまりにもリアルで凄惨な描写に吐き気がする」と評した。ただしこの映画に直接的な残虐な描写はない。一切音楽なしで淡々と日常が描かれるのだが、砂漠の映像美によりそれが彼らの途方もない絶望感を感じさせる。

1956年、毛沢東は共産党への自由な批判を歓迎する
「百花斉放・百家争鳴」を打ち出した。知識人たちはこぞって自由な発言を始めたが、そのわずか数ヶ月後突如方針を転換、共産党批判を行った者を容赦なく粛正するという「反右派闘争」が始まった。突然「右派」のレッテルを貼られた知識人たちが、「労働改造」と称して収容所送りとなる。ちょうど同時期、毛沢東の推進した「大躍進政策」の大失敗のために、中国全土で大規模な飢饉が発生し、収容所にも食料が届かなくなってしまう。

この中国全土を襲った狂気である「反右派闘争」「大躍進政策」「文化大革命」はわずか40年ほど前のことであり、数千万人もの人々が犠牲になったと言われる。あまりの理不尽さに絶句するしかない。空想的イデオロギーや権力者の狂気ほど恐ろしいものはない。

2010年香港・フランス・ベルギーの合作映画。監督のワン・ビン(王浜)氏はドキュメンタリー映画により世界映画の第一人者とされている。

2012年4月7日

「巨怪伝〜正力松太郎と影武者たちの一世紀」佐野眞一を読んで

佐野眞一「巨怪伝〜正力松太郎と影武者たちの一世紀」(文春文庫)が面白すぎで、圧倒されてしまった。一つには正力松太郎の巨大さにであり、もう一つは本書に9年間かけたと言われるノンフィクション作家佐野眞一氏の圧倒的な取材力と筆力にである。膨大なエピソードがちりばめられた1,000ページにものぼる大著だが、あきっぽい私でも読み終えるのが惜しいと思ったほど。

正力松太郎は、一般に"大衆操作の天才"と呼ばれ、プロ野球の父、テレビ放送の父、原子力発電の父と称される。正力の遺産はとにかく巨大なものだった。弱小だった「読売新聞」をプラウダを超える世界一の大新聞に育てたことに始まり、自由民主党の大連立を仕掛け、日本初のプロ野球チーム「読売巨人軍」発足、日本初の民放テレビ局「日本テレビ」開局、当時そのテレビで独占中継され根強い人気を持つ「プロレス」の立ち上げ、Jリーグ発足の基となった「読売サッカークラブ」創設、カナダ・カップ日本開催による「プロゴルフ」ブーム、原子力平和利用ブームを起こし「原子力発電」の日本への導入と、昭和大衆史は正力抜きでは語れないことを痛感する。

正力松太郎の豊富な人脈と行動力と独裁ぶりには度肝を抜かれるし、怪物といえる人物であった。だが正力の特徴は、反共産主義だった警視庁時代以降は、「大衆操作の天才」でありながらイデオロギーや国家主義的なものとは無縁だったことである。数々の事業は彼の名誉欲、達成欲、独占欲を満足させるためであり、自身が総理大臣へのし上がるためのものであった。正力は「警察庁と警視庁の区別が最後までつかないような男」だったし、プロ野球を導入しながらも野球のルールは知らないし、新聞社を大きくするがペンを使ったことはなかったし、原子力平和利用ブームをあおりながら「原子力に関する知識は小指の先ほどもなかった」人物であった。

そこで彼は影武者たちの功績を自分の功績にすり替え、彼らをつぶしにかかるという行動を繰り返す。本書でわかることだが、本当のプロ野球の父と言えるのは鈴木惣太郎であり、テレビ放送と原子力発電の父は柴田秀利であり、読売新聞を世界一にしたのは務台光雄といった「影武者たち」であった。彼らが正力との関係に煩悶しながら大事業を成し遂げる姿は圧巻である。

正力の部下たちは、正力の頭にひらめいたとっぴなアイデアを実現するために、文字通り奴隷のように働いた。だが不思議なのは、彼らはそれを完全に嫌っていたわけではなく、正力を最悪の人物とののしる一方で、正力と一緒に仕事ができたことはすばらしかったと熱く語るのが読売OBの共通点だという。ある読売OBによれば正力に比べれば渡邉恒雄はまるで小物で「形骸化された正力」であるらしい。正力が自分の意に沿わない人間も能力主義で重用し続けたのに対し、渡邉恒雄は腹心だけで組織を固めてしまった。組織人とは何なのかを考えさせてくれる。

正力松太郎の業績は、現在でいうと、新聞・テレビのクロスメディア、記者クラブなどの「マスメディア」問題や、原子力ムラと言われる「原発」問題につながり、そこに冷戦構造下のアメリカの思惑が深くかかわっていたことがよく理解できる。このことを紋切り型にいい悪いというのではなく、本書を通じて、当時の正力や影武者や政治家たちが何を考えどんな思いで行動してきたかを理解することこそ有益であると思う。

著者はあとがきでこう書いている。『この本は、”庶民”というものが、いかにして"大衆"というものに変貌したのかというのが大きなモチーフとなっている。そのモチーフをさぐる上で、正力松太郎ほど格好な人物はいなかった。』

昭和史を深く知る上でも、一級のエンターテイメントとしても、著者渾身のノンフィクションをぜひご堪能あれ。

2012年3月31日

AppleTVとアナログオーディオでつくるデジタル・ワイヤレス音楽環境


1080pのHD画質に対応した新AppleTVを購入した。iTunes、映画、YouTube、フォトストリームなどがiPhone、iPadをリモコンにして自宅の大画面テレビで見れるのは本当にすばらしい。



これまで何度も買おうと思いながら迷っていた理由が「オーディオとの接続」だった。私のAppleTV購入の主な目的は、iTunesに貯め込んだ音楽ライブラリをiPhone、iPad、Mac、WinPCをリモコンにしてリビングの既存オーディオで聴くということだ。いちいちオーディオにiPhoneをつないだりCDを出し入れするのは面倒だ。

AppleTVをテレビにつなぐにはHDMIケーブル一本なので実に簡単(テレビ側にHDMI端子が必須)。ところがこのままでは、iTunesライブラリの音楽を聴くためにわざわざテレビの電源を入れる必要があるし、テレビのスピーカでは音がさびしい。なのでAppleTVと光ケーブルでオーディオをつなぎたいのだが、我が家のオーディオには光端子がない。

光端子に対応した最新のオーディオアンプやスピーカの新調も考えたが、我が家のDENONアンプ+BOSEスピーカはそれなりのグレードで結構いい音を出してくれるので、安物に買い換える気にもなれない。

そこで購入したのが「デジタル→アナログ音声変換器」。

接続はこうなる。

AppleTV → (HDMIケーブル) → テレビHDMI端子

AppleTV → (光ケーブル)→ 「デジタル→アナログ」音声変換器 → (アナログ音声ケーブル 赤・白)→ オーディオ(私の場合DVD入力端子へ)

さらに我が家ではテレビのHDMI端子がHDDレコーダーに占領されていたので、「HDMI分配器」が必要に。
AppleTV → (HDMIケーブル) →  HDMI分配器 →  (HDMIケーブル) → テレビHDMI端子

AppleTVは8,800円だが、結局倍のコストがかかってしまった(^^;)。

これで所有しているCDを全部iTunesにつっこんでしまえばiPhone、iPad、Macがリモコンになってワイヤレスで音楽が操作できる。インターネットラジオも同様。リビングの既存アナログオーディオでの「デジタル・ワイヤレス音楽環境」が格安で整ったわけだ。

AppleTVはApple製品を持ってる音楽好きなら迷わず買いでしょう。

(2012.3.31)


  

追記:
Macの画面をリビングのテレビにミラーリングしたり、MacからYouTubeの音をワイヤレスでオーディオから聴きたいという方は、AirParrotというシェアウェアが超便利。


2012年3月24日

日本マクドナルドの驚異のV字回復


先週のテレビ東京のカンブリア宮殿スペシャルは「日本マクドナルド」だったが、その改革の中身と驚異的な業績の回復を見て興奮してしまった。

今からわずか8年前、日本マクドナルドが創業以来の赤字転落で苦しむ中、米アップルコンピュータの副社長にまで上り詰めた原田永幸氏がトップに就任した。そこからの8年間は日本経済がデフレで苦しんだ時期にもかかわらず、年間客数が11億人から16億人に5億人増、店舗数をあえて減らしたにもかかわらず1,500億円の大幅売上増。絵に描いたようなV字回復を果たした驚異の経営者だ。

よく言われることだが、マクドナルドの主要なライバルは決してモスバーガーではなく、牛丼チェーンやコンビニである。その強力なライバルに圧倒的な差をつけたのが彼のすごさだ。彼は言う。「会社を成功させるための大事なカギになることは何か?それは業績である。業績がなければどんなに正しい戦略も改革も正しくない。」

原田氏が来る直前のマクドナルドは、65円の「激安マック」により業績とブランドイメージが低迷していた。原田氏はまず「味をよくする」を掲げ、「メイド・フォー・ユー」という注文に応じてその場で作る設備に100億円を投じた。味がよくなったことを広めるために100円マックキャンペーンを行い客足を一気に増加させ、その後8年間で6回の値上げを行った。最近のマクドナルドの店舗がすっかりおしゃれになって、高額になって、ブランドイメージも上がっていることは誰もが感じていることだろう。さらに24時間デリバリーと、この勢いはしばらく止まらないはずだ。

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私は普段、マクドナルドにはほとんど行かない人間だ(たまには行くけど)。ハンバーガーは典型的な高カロリーのアメリカ食文化であり、ヘルシーとして世界的にブームとなっている日本食とは全く相容れないものと偏見を持っている。ところがどうもあのジャンクな味は人間を惹きつけるらしく、「食の帝国主義」は着々と浸透しているように見える。一ヶ月間ハンバーガーを食べ続けたら人間はどうなるかを自身で実験したアメリカドキュメンタリー映画「スーパー・サイズ・ミー」によると、実際にドクターストップがかかるくらい体調に異変を起こす代物だ。アメリカ人の肥満度は貧困層を中心に目を覆うばかり。おもちゃをダシに子供の味覚をマック漬けにする戦略も、映画では手厳しく批判されている。

原田氏の経営者としての能力は特筆すべきものだが、だからこそ日本人の食文化を憂慮してしまう。世界中が日本食のすばらしさと日本人の肥満度の低さと長寿命に注目している中、原田氏の経営者としての能力が高いほど、日本人の高カロリー食が一層加速するのは実に皮肉なことだと思う。糖尿病、心臓疾患増加による近い将来の医療費増大は、放射能による健康被害なんかよりはずっと可能性が高い。

別にマクドナルドのせいでもないかもしれない。原田氏が言ってることだが、マクドナルドにヘルシーメニューを求める顧客の声は多いが、実際にはヒットしないらしい。逆にヒットするのは「メガマック」に代表される高カロリーメニューばかり。戦後からの日本の食文化の変質はもう手遅れのようだ。

2012年2月26日

タイで一文無しになったすばらしい思い出


大学三回生の時インド、ネパールに二ヶ月間ほどバックパッカーとして一人旅をした頃の写真を、今になって見返してなつかしてくてたまらなくなった。もう25年前になるが、この時の思い出は今でも強烈に残っている。あの旅行で出会った人たちとは残念ながら音信不通になってしまっている。あの頃Eメールやfacebookなどがあれば今でも連絡が取れたりするんだろうなと思うと、つくづく今は便利な世の中だと思う。

当時、藤原新也やオウム真理教にはまってた人と学生寮で知り合いになり、とにかくインドへ行くのだとそればかり考えてた時期があった(私はオウム真理教とは関係ありません)。超貧乏生活の中、やっとのバイト代を手にして行くことに決めたのが1987年の春、確か飛行機代に10万円、所持金は5万円くらいだった。香港-タイを経由しインド北部-ネパールを一人で二ヶ月かけて回る旅に出発した。


でもここからの話はインド、ネパールではなく、5日間しかいなかったバンコクでの話である。香港に2泊してからバンコクに入り、いよいよインドだと心を躍らせていたとき、何と初日に所持金を全額盗まれてしまった。当時の私は全く無防備で、怪しげな二人にやさしい声をかけられ、タクシーに乗せられたと思ったら、突然降ろされた。おかしいなと思ったらウェストバッグのトラベラーズチェックがなくなっていた。キャッシュは小銭しかなく、クレジットカードも持ってない私は途方にくれてしまった。

公園で寝ることも考えたが蚊がすごいらしい。とにかく歩いてたどりついたところがパッポンという有名な歓楽街(後で知った)、その中のホテル(後で知ったがラブホテル)を見つけロビーで途方に暮れていた時、若い男が声をかけてきた。つたない英語で事情を説明すると、そいつは警察官で、自宅に泊めてやると言うので、当然私はその話に飛びついた。

そいつの家で一緒に酒を飲んで色んな話をした。そいつはLAに留学したことのあるインテリだった。部屋で流れていた曲はシカゴ「Will You Still Love Me?」で「この歌詞の意味がわかるか?」とからかわれたが当時の私にはその英語は聞き取れなかった(日本に帰国後、この曲は何度も聴いた)。

機嫌良く二人で眠りについた時、そいつは突然背後から抱きついてきた。LAにいた警察官とくればもしかしたらと考えるべきだった。寝たふりをしながら必死で抵抗し、数分後そいつはあきらめたようだった。翌朝別れる時の気まずさは忘れられない。

そんなことよりこれからどうしよう。このままではインドに行くどころではなく、のたれ死にだ。だが、幸い盗まれたのはトラベラーズチェックなので再発行が可能なはず。一刻も早くシティバンクを見つけて手続きに行かねばならないがどうやって行けばいいのかもわからない。

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こりずに昨夜のラブホテルのロビーにたどり着いて思案していたら、ホテルの若い従業員が声をかけてくれた。私よりは少し年上の男で名前はPai Boon。またもつたない英語で事情を一生懸命話すと、「助けてやる」と言われ涙が出そうになった。

まずはシティバンクに連れて行ってもらった。トラベラーズチェックの再発行日はインドへ旅立つ前日でぎりぎりセーフ。ただそれまでの二日間は金が全くないのでPai Boonの世話になることになった。

すぐに彼がとても貧乏であることがわかった。私は調子にのって「コーラが飲みたい」と彼に言ったら、「水で我慢してくれ、俺はpoor boyなんだ」と笑ってた。

彼は一晩中仕事なので一人で彼の部屋へ。5畳くらいで家具が何もない部屋。隣からは大音量の音楽が丸聞こえ。とにかく寝ようとしたら一匹のゴキブリが登場した。私はゴキブリがとにかくダメなので真っ青になりながら何とか退治。ゴミ箱に入れようとすると何とゴミ箱にさらに生きてるゴキブリを二匹発見。青ざめながらゴミ箱ごと家の外に出した。

再発行を終えて私は無事インドに行けることになった。Pai Boonはとても喜んでくれた。聞くと彼の睡眠時間は3〜4時間くらい、仕事ばかりで休みもないという。なのに彼は時間を割いて、再発行につきあってくれて、食事をさせてくれて、家にも泊めてくれた。これほど人の好意をありがたく思ったことはない。いつかはこのお礼をすることを約束してPai Boonと別れ、インドに旅立った。

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それから10年が経った。私は輸入の仕事をしていて、たまたまタイに行く機会が多くなった。ふとPai Boonはどうしてるだろうと気になってしょうがなくなった。でもとても会えないだろうというあきらめもあった。

だが思い立って、バンコク出張の時に例のラブホテルを探し出して彼の居場所を聞いてみると、何と彼は近くの売店で働いているという。行ってみると売店の仕事をしている彼の奥さんを見つけることができた。電話で彼を呼ぶので少し待てと言う。私はどきどきしながら待った。

10分後現れたすっかりおじさんになった彼の顔はすぐにわかった。感動のあまり、私は当時あなたに助けてもらいどれだけ感謝しているかを熱心に話をした。すると彼は一言「お前、英語うまくなったな」。

彼は相変わらず仕事だらけの貧しい生活を送っているという。その彼が明日の朝日本に帰る私を、寝ずに車で空港まで送ってくれるという。空港での別れ際で私は、自分が持っているありったけの現金を彼に渡した。失礼だとは思ったがそのくらいしかできなかったから。

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インド、ネパール旅行もたくさん色んなことがあってすばらしい思い出に包まれているし、卒業旅行のエジプト、イスラエルもよかった。だけど、私はバンコクでのわずか数日間、Pai Boonに助けてもらったこと、10年後に彼に再会出来たことが、何と言っても一番の思い出なのだ。

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Pai Boonと再開した時、彼の家族と私(1998年)

2012年2月21日

日本人を勘違いさせた犯人たち

多くの日本人が好んでいたものの実態は、こういうことだった。

<司馬遼太郎>
昔の日本人は素晴らしいと感動しながら読みまくるビジネスオヤジが大増殖。
これじゃ中国や韓国が我らこそ素晴らしい民族と悦に入ってる図と全く同じ。
当時の世界の力学からちっぽけな日本がどういう影響を受けたかという視点で見れば、もっと違う風景になるはず。
そもそも司馬遼は歴史書ではなく小説だということを忘れちゃいけない。

<プロジェクトX>
日本企業は優秀である、特に現場は優秀、苦労することが大事、という神話を強化した国策番組。
もちろん彼らを尊敬はするが、日本にはこういう人たちがいたからこそ豊かになったという勘違いはやめたい。
当時の日本は世界情勢的に高度経済成長する要因がたっぷりそろっていたということの方がずっと大きい。

<太陽にほえろ>
日本の警察は清潔で優秀で人情たっぷりという神話をつくったプロパガンダドラマ。
世界中で悪名高き「代用監獄制度」が冤罪の温床になってる、実は警察は裏社会と密接につながっている、なんてこのドラマ見ても絶対にわからない。
世界中で警察は腐敗しているが、日本も大して変わらない。

<遠山の金さん、大岡越前>
「大岡裁き」など、本来の司法や人権や民主主義とほど遠い存在。
法律もルールも何にもない恣意的な判決がよしとされてきた。
あんなものを裁判だと思うから、みんなお上は正しいと思い込んでしまう。

<金八先生>
子供のことを真剣に考えれば先生は万能であるかのような幻想を抱かせた。そんなわけないだろ。

<HERO>
キムタクを使った「検察は正義、かっこいい」というプロパガンダ。
ドラマとしてはおもしろいが、検察の実態とあまりに違うことは明白。

<大前研一>
若い頃、大前研一の言うことを真に受けて、日本企業や上司をバカにしたり変に提言をしたりして、冷や飯をくらった経験のある人も少なくないはず。

<朝日新聞>
ずっとエリート新聞の代名詞だったが、そのブランドもようやく地に落ちた感がある。特に昔は、戦時中の戦況ねつ造や南京大虐殺や従軍慰安婦の大誤報や北朝鮮・文化大革命・チベット解放賛美など、よくもこれほどだましてくれたなって感じ。記者クラブのひどい実態も明らかになってきたし、田中角栄や小沢一郎もネットがなければ極悪政治家で終わってたんだろうな。

2012年1月28日

小室直樹「日本人のための憲法言論」は面白すぎ

小室直樹氏の著作はこれまで何冊も目を通しているが、「日本人のための憲法言論」は決定版と言えるかも知れない。彼のエッセンスが全て詰まっている感じ。題名からは憲法の条文についてのうんちくを並べ立てた本を想像するが、実は西洋史、日本の現代史とも言える内容。宗教、議会、法律、民主主義、資本主義についての「原論」を西洋の歴史から根本的に読み解く圧巻の書となっている。

これを読めば、我々が漠然とすばらしいと思っている民主主義がいかにあやふやなものか、議会や憲法がいかに重要なものか、ため息が出るくらいすんなり理解できる。文章も平易で歴史ミステリーを読むように一気に読める。

テーマは刺激的なものが並ぶ。
・憲法こそが全ての根本
・権力はリバイアサン。権力監視の仕組みこそが重要
・民主主義は独裁を生むシステム
・フランス革命は最悪の恐怖政治を産んだ。おかげで長らく民主主義はだめなものとされてきた
・民主主義、資本主義、革命思想の根本にはキリスト教がある
・明治以降の天皇教は、日本に資本主義を根付かせるための施策だった
・平和主義者が戦争をつくった
・ヒトラーの政策はドイツ国民に圧倒的に支持されていた
・「天皇の戦争責任」などと言う人は憲法が全くわかってない
・田中角栄死して憲法も死んだ
・日本の平和憲法は世界中に同じものがあって珍しくも何ともないもの

目からうろこがはがれまくって視界が一気に広がること請け合い。

2011年8月18日

Reflections - Andrew York (short version : cover)

自分のソロギターをアップしました。
アコギを始めて2年くらいの初心者です。
Andrew Yorkのたくさんの美しい曲の中で特に好きな曲。
今回は主題パートだけだけど、フルバージョンは鋭意練習中。

2011年8月15日

10万年間決して掘り出されてはならない - ドキュメンタリー映画「100,000年後の安全」

映画『100,000年後の安全』



原子力発電の負の遺産である高レベルの放射性廃棄物。危険極まわりない代物なのに、処理方法が確立されていないのが現状。この映画は、フィンランドに建設中の放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」についてのドキュメンタリーだ。

放射性廃棄物が無害になるには10万年かかる。その途方もない時間の間、人類に掘り出されないようにするにはどうすればいいか?10万年?!キリストが生誕してからまだ2011年しか経ってないというのに。

放射性廃棄物は地震のない地域で地中深くに埋めてしまうしか手がない。そして人類に忘れ去れるのをひたすら待つしかない。しかも決して掘り出されてはならない。ちなみに日米がモンゴルで計画している最終処分場があるが、これはフィンランド「オンカロ」のアジア版である。

これは、ただ単純に日本で「脱原発」を唱えればいい問題では決してない。

現実に世界中で400基を超える原発が稼働しており、廃棄物が累計20〜30万トンにも上る。今後20年、中国とインドが欧米と同じエネルギーを消費するとすれば、原発の新設が1日に3基必要になる。化石燃料の争奪戦は経済問題だけではなく戦争を生む危険性すらある。大気汚染は深刻であり、さらに石炭の炭鉱事故では中国だけでなんと年間2千人が死亡している。

一方で再生可能エネルギーに期待するも、大阪堺市で建設中のメガソーラーの年間発電量は、たった浜岡原発1時間分。発電が不安定な上に、税金を大量につぎ込まなくては全く採算が合わない。ドイツは太陽光発電への累積投資に7兆円かけてそれでも電力全体のわずか2%。原発の20倍以上のお金を掛けてやっと原発1基分強。被災地の復興を前に財政赤字の日本のどこにそんな金がある?

そう言ってる間にも、化石燃料もウランもいつかは枯渇する。

いますぐ原子力を捨てることは無理なのだから、このオンカロのように放射性廃棄物を技術とお金と創意工夫で押さえ込むしか手が無いわけだ。

関係者のインタビューを中心に淡々と話は進む。映像がとにかく美しく、独特の雰囲気をもったいい映画だ。

2011年7月7日

UPOJENIE / PAT METHENY & ANNA MARIA JOPEK

UPOJENIE / PAT METHENY & ANNA MARIA JOPEK


このアルバムには本気で感動してしまった。
パットメセニープロデュースによる、ポーランドの歌姫アンナ・マリア・ヨペクの2003年のアルバム。
パットメセニーのオリジナル曲が多数収録されているが、いずれも新しいアレンジと彼女の美しいボーカルにより極めて「叙情的」なのが特徴。美しいメロディがこれでもかとばかりちりばめられていて、もう日本人にはツボと言える。また印象的なジャケットがその雰囲気を出してる。
特にパットメセニーファンには絶対聴いてほしい。彼のオリジナル曲が一層輝きを増している。
全編すばらしいが、あえて選ぶとすると、
Are You Going With Me? / Offramp
Always and Forever / Secret Story
Farmer’s Trust / Travels
Another Life / Speaking of Now
もう感涙もの。
ぜひ陶酔してほしい。
紹介していただいた@risarisa39さんに感謝。